ガールフレンド
新しいカウンセリングに五分遅刻した。勿体ない。先生は親より少し若いくらいに思えた。
まともに質問に答えられず、言いたいことをどうしても口にしてしまう私に先生は、手をぐるぐるゆっくり回す療法を教えねばならなかった
これ、ギターでやれないもんかな、でなきゃ馬鹿馬鹿しいと正直思ったけど効果は絶大だったと思う
23年前、私は生涯自分を呪う判断ミスを犯した
誰にも理解されないから、強くなるしかないと思った
23年前、判断力を失い、かべに頭を打ちつける私を引き戻す男の演技をした私の演技力は、役者並みの再現力だった
先生は、黙っていた
話し終えた私の心の中で泣き崩れおちた私は7歳の姿をしていた
先生は言った
「言葉がでません、ごめんなさい」
今の彩さん、19歳の彩さん、7歳の彩ちゃん、その先生はそう呼びかけてから深々頭を下げた
私は、信じてくれてありがとうと思った
そして、人の痛みと向き合う先達のこの姿を私の仕事に生かさなければと思った
帰り道、ベタを観たくなって寄り道した私の頭上を飛行機が飛んで雲をなした
私はチバの歌うガールフレンドが聴きたくなってヘッドホンを耳に入れ、実は私の世界で一番救いが必要だったのは自分だったんだと思った
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