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2017年7月22日 (土)

あまりにも死にすぎ

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ヒョウの奇襲から数日、ベランダではいよいよ三次災害が始まりました
生き残っていたと思われた植物たちが異変を起こし始めたのです
ヒョウに直撃された多肉植物の根元が傷つき、
そこが夏の暑さで蒸されて腐ってきました

しかし、子育て中の私がベランダに出られる時間には限りがあり
私はジレンマに襲われ、そんな中
「生きてるのに捨てるのはかわいそう」なんて母が言うものですから
「だったら代わりに育ててよ!!引き取ってよ!!
緑は復活するとか、まだ生きてるとかあまりに無責任なこと言わないでよ」
なんて言い返してしまいました

大人気ないとは思うのですが、もともと精神的な療養も兼ねた
植物栽培でしたので、ボロボロになった命と
為す術もない命が長時間目に入り続けるのは
私のキャパを超えてきます
こんな事情は誰にも伝わらないとわかっているし

ブログを読んでいる皆さんには
「ああ、またミトラは新しい鬱入ってるな」とか思いながら
娯楽として消化してもらえばいいとは思っていますがヤリキレナイ

そんな心境のところにリンキンパークのヴォーカルの
チェスターが首をつって死んでしまい
そのニュースで数珠繋ぎになってクリスコーネルの自殺も
知ってしまいました
クリスの歌うBLACK HOLE SUNを真似しながらこんな声で
歌いたいと思ってきたのに、指標が星になってしまっていたとは

リンキンパークは私の中では珍しく遭遇率が高い外タレでした
20代の初めに武道館まで単独公演を観に行ったこともあったし
(なんで前座がHYだったんだろ)
サマソニでトリの前に出てきたのを「お、観よう観よう」
なんてノリで見たこともありました
妊娠の年かその前の年くらいでしたが
ぼちぼちオッサン入ってきたメンバーを見てどんな歳の重ね方
をするんだろうと思ってましたが
まさかそのフロントマンがこんなに早く死ぬとは思わず
バンドが象徴する声を失うと言うことはエライことです

それで最新のアルバムのheavyという曲の歌詞を読みましたが
素晴らしい和訳をしている方がいる)こんな苦しんでたのか
と思うと同時に、自分の気持ちを代弁してくれているようで泣けました
でもチェスター、私の気持ちを代弁してくれてありがとうとか
言っちゃうのはあまりに自己中すぎて無理だなと思うのです
彼はきっと歌いながらきっと助けを求めていた
というか助けたい気持ちを昇華していたのではないか
とつい考えてしまうので

チェスター、友達だったらとりあえず側に座りたかった
友達だったら、友達でなくてもそれができたなら

今回のことで色々思ったのですが
なんつーか、バンドのフロントマンが突然
ヒット曲の歌い方を変えたり
リスナーに悪態をつき出す時は精神状態が
かなりやばい時だと思うのです

レディングでのライブのニルヴァーナしかり
セックスピストルズのNYライブしかり

チェスターもバンドがリハーサルでこのheavyって曲をロック調にやって
「お前らが聞きたいのは初期みたいなこういう感じだろ」
みたいなことを吐き捨ててる動画を見てそれを感じました

あと精神的に深いトラウマを抱えたタイプのミュージシャンが
慈善活動に積極的に手を出すのも実は
危険な行為なのではないでしょうか
個人的にはリンキンが東日本大震災でチャリティーしてくれたのは
すごく嬉しいしありがたいことだったと思うのですが

カートコバーンが晩年近くに自分の好きな良いミュージシャンを
発掘し紹介しようとしたり、レイプされた女性の立場を思って
rape meを歌ってたあたりとついダブらせてしまったんです

心の深い傷を優しさに変換するタイプの人間って
自分が得られなかった愛を与えると同時に求めてしまって
結局さらに心の愛の渇望の穴を広げることになるんでないかと

それはバランスの良いメンタルの持ち主が音楽で認められ
感謝の気持ちを持ち歓迎しようとするのと決定的に
土台が違うと思うんです
普通に生きているのが困難だった心を音楽でやっとこ支えるって
バランスは実は技術が何年熟練されても変わらないんじゃないか
なんてことを考えてしまいました
「俺は音楽によって救われたからそれを世界に還元しよう」
ではなくて
「俺は音楽に危うい精神を救われている」がずっと続くのではないかと
今回の訃報を聞いて私はここを軽視するのは
あまりに危険な気がしてきました

てね、自分が無責任な発言するなと人に切れたのに
随分と無責任な発言しています私

ここからは、メンタルの弱い私が今回の訃報に引きづられながら
考えたことなんですが

心の傷や弱さって本当に克服する必要があるんでしょうか

今回の訃報で、数年前に見たリンキンのドキュメンタリーで
チェスターがヤク中から抜け出せなかった時に
メンバーのシノダ君がそんな彼を描写した詞を曲につけて
チェスターがつらすぎて泣きながらそれを歌った
ということを回想するシーンがあったんですけど
そんな風に克服できると信じることは結局自分をいじめることに
なるんでないかと

もちろん、ヤクはやめてほしいけど
やめた後は自分にはこの脆さがあると思って進むくらいで
よかったんでないかと

私、チェスターが子供6人いると聞いて
え!6人いるのにやっぱ死んじゃうの!!と最初に思って
そこから彼は子供を持つ喜びを六回経験してでも
幸せな人間になりたくてあがいたんじゃないかと妄想して
悲しくなっちゃって

結局鬱や不安定を克服するのを周りが奨励するのって
自分たちに影響が及ぶのを回避したい部分も大きいと思うんです
自発的に「こんなに落ち込んでる自分は馬鹿馬鹿しい」
と思うのと違って
「周りを安心させたい」と思って克服するのは
結局自分の魂を蔑ろにし続けているのと
変わらないんじゃないかと

少なくとも四十歳手前の私は、社会に適応できるとか
問題を起こさずに生きていける自分になれる
たとえ時間がかかっても
と思って生きることに最近ものすごく疲れました
むしろこのせいで死にたくなる

なんつーかそういうのを期待されることに怒りを
感じたりもして今日はメタリカとか聴いて
ノンアルビールを飲み干しました、しかも二缶目

スタバでコーヒーだけじゃなくてケーキも食べたし
我慢していた服を買いました
せっかく節約してたのに全部無駄

でもなんか「アハハー物欲って楽しいな、
崇高な理想とか要らないな」と思って元気出ました

魂なんか磨かずに世間的な欲にまみれて人生を謳歌する
なんて人間っぽいんだろうと思って
結果それで霊感を失っても夫と息子と両親と
そういう人たちの前に居られるならそれでいいでないかと
いうのが最近の私です

結局自分の話です、すいません

最後に武道館にリンキン観に行ったとき
最前列まで頑張っていった私の前で
チェスターがスピーカーに足をかけて
全身を振り絞るように「シャラーップ」と叫んでいた姿を
忘れられません

あなたの苦しみが本当に終わりますように

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