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2016年10月 3日 (月)

子供がかわいいと思える大切さについて

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一ヶ月半前、アタシはマンションのベランダでグッと手すりを持って
下を見つめていました
さて、このあとどうしようか?そうためらっていたら母が息子を抱いたまま
後ろから声をかけ続けてきました
なんで母が遅い時間にいたかというとこの日の夕方にアタシが
マンションの外に包丁を持って飛び出そうとしたのを
夫に止められたのを聞いたからです

「アヤ、アヤ、離れなさい」としつこく声をかけてひきとめてくるのに
苛立ったアタシは夜中だっつーのにベランダで大声で叫んでました
「善人ずらするなよ!!止めるからなんだっていうんだよ
止めたってこっちの話なんか聞かないじゃないか!!
どうしたのも大丈夫もいってくれないじゃないか!!
だったら死なせろよ!!うるさいな!!」
息子がびっくりした顔をしたのでちょっと正気にもどった私は
息子を風呂に入れたんですが、その間に母が父に電話したので
今度は父までやってきまして、夜の仕事を終えた夫が帰ってきた頃
こういいました

「アヤはもう育児ノイローゼになりかかっていると思う」
だから息子を預かりたい、そういう提案でした

そして週末に初めて息子は車に乗って実家にいき
その夜に戻ってきたのですが
その翌日アタシは「息子がかわいい」と思えてそれが壮絶に嬉しくて
と、同時に息子を預ける必要性を感じて丁度いい託児施設を探し
巡り会い、今に至るのです

騒動の日の昼、行政による息子への一歳のバースデイ訪問が
ありました
私はその訪問を実はかなり心待ちにしていたのです

その頃つかまり立ちが出来るようになった息子は
あらゆるものを触るようになり、猫の水皿をひっくりかえし
それを拭いている間にゴミ箱をあさってゴミをたべようとしたり
それで場所をかえたらそこにあった仕事の書類を食べてしまう
なんてことが毎日のように隙間なく続いていました

親に愚痴を言いたくて電話をかけようとして手を離せば
皿をひっくり返したので途中で切らざるを得ず
メッセンジャーで誰かに話そうとしてもやっぱり
その間にどっかに頭をぶつけて泣き出したりするので
文章をつくることもできない

自分の方の睡眠もぶつ切り状態なので注意力が続きません
どうしても息子を見続けたくても限界が出てふっと目を離した
タイミングで何かが起きてしまいます

そうしても「ちゃんとみてなきゃ駄目じゃない」としか
言われないと思うと訴える気になれず
危険だったり触って欲しくないものはどかしましょうと言われても
そのどかす隙間の時間も、それをする体力もないのに
さらにやれってどうしたらいいんだと追い詰められ
当時既に「行政に相談したら」とか「一人で悩むな」といわれてましたが
電話すらできないのにそんな事ができるはずもなく
そしてそれを説明する事も出来ない事に絶望していました

そうやってフラフラのまま息子を行水させていたら
彼が私の化粧品を水の中にぶっ込んでしまい
「もう駄目!!私殴っちゃうよ!!もう限界だよ!!」
と私が騒ぐので夫にベッドに突き飛ばされて
息子から引き離されたこともありました
とにかく、仕事疲れを回復させたくて休日に休んでる夫が
恨めしかった、アタシと同じくらいに限界になれよ
そう思っている自分もいました

そうやってあたってしまって夫が家を出てしまったりして
私は本当にどうしていいか分からなくなっていました

私がこの状況から救われるには児童相談所に
私は虐待母ですと多少誇張でも訴えるしかない
と日々思っていました

なのでそんな蟻地獄の砂の城にいるような所に育児のプロが
自ら進んできてくれる!!この訪問は最後の砦だと思っていたんです
ところが

出だしで
「いただいたお葉書のお悩みの欄につい子供に怒鳴ってしまう
って書いてあるから心配で」と彼女は言ってくれたのですが
彼女にこちらの思いを伝える事はほぼできませんでした
「この家は狭いですね、一歳の子を充分に遊ばせるスペースがないわ
毎日児童館に連れて行ったりしてますか?」
「寝る時間が遅いですね、夕方寝かせては駄目です、
成長ホルモンがでないわ」
「ご飯は白米食べさせてください、でないと味付けのご飯しか
受け付けない子になります」
まるで一つ一つの注意がカウンターパンチのよう

この訪問は短く終わるのか、長引くものなのかわからず
私は息子のウンチも変えられず気がそぞろ
そんな中、結果的にもっとやれ、もっと増やせという指示が追加され
いよいよ行き場をなくしたと思い出した頃
「追い詰められているなら一時保育でリフレッシュが必要ね」
と言い出す彼女
「利用したいですが、もう一時保育に電話して
外出する気力がありません」

「だから、そういうときに一時保育なの!」

「いえ、ですから、もう追い詰められてもう児童相談所に電話したくて」
「だからそうなる前に一時保育を利用して〜」

駄目だもう、今限界なんだと正直にいっている私の声が届いてない
そんな訳でアタシは、夕方に息子を寝かせているのは
自分も体力の限界が出る時間で、何か起きてしまうよりは
寝る時間が遅い方がまだマシという妥協の上でやってることもいえず

彼女が息子の遊び場をつくるために提案したのは
ダイニングテーブルを撤去して座卓にしろだったんですが
その一週間前にそのテーブルをいれたことで
部屋が明るくなったね、ウツが防げそう!!なんて会話をしたということも
言えずじまいでした

私は結局頼みの綱が切れたと感じてしまったのでしょう
そして冒頭の事をおこしました
包丁を持ってしまったのは、そうやって建物の前で振り回せば
通報された警察がやってきて、私を捕まえてなんでこんなことを
したのかと事情聴取できいてくれると思ったんです
ベランダにでたのも同じ理由だと思います

行政も駄目、人に話せと言っても話せない
自分はもうおしまいだ、分かってもらえないなら
自分で幕を引くしかない

でも引かなくてよかった、本当に良かった

休むようになって私は、自宅で息子に対して注意を払い
鑑定の仕事でお客さんの言葉と見えたものを伝える事に
注意を払い、そして帰宅してまた注意を払うという繰り返しで
神経が過度に摩耗していたことを悟りました

私の自律神経は張りつめ過ぎてちょっとの刺激で
眠れなくなったり
ちょっとした天候の変化で激しい頭痛を起こすように
なっていましたが最近やっと和らいできました

怒鳴ってはいけないと注意されなくても
自然に息子の行動を見守れるようになったし
息子を預けている時間に部屋の危険な箇所に
工夫が出来るようになりました

今の預け先にいる時の息子の話を聞く事で
息子に何をしたらいいか客観的に考えられるようになってきました
そして何より、息子を1日に何度もかわいいと思える

ちなみに息子は白米食べろと言わなくても
勝手にアタシの茶碗から白米をとって食べてます

さて、私が何を伝えたかったのかというとそれは
不安げに講習をうけたり育児本を読んだりしなくても
本当は母親って過度の疲労さえ軽減すれば
人に言われなくても自然に子供にいい対応ができるんじゃ
ないかということ

あと、子供の成長を見守る時間をシェアする人が
本当に必要だと思うということです

一人で大変だったけど何とかなったって言葉はありますけど
いや、でもそれって子供はその間に死ななかったというだけで
夫婦間に亀裂が入って信頼をなくしたとか
その当時の事が思い出せないってのはやっぱり
なんとかなってないだろうと思うんです

私、自分の結婚式で覚えてるのは
「タイムスケジュール通りうまくいってるかな」
って気にしてた事ばかりで
夢今も「今回も無事終わった、疲れたな」ってため息ばかり
今回も児相がどうって思い出した前後の写真をみた時
「ああ、こんなときあったな」とうっすら思い出すけど
実感をこめた思いが湧かないんです
まるでブログ用の写真を撮ったときみたいで

すでにそれが凄ーく悲しい

でも今は三つくらい寝る前に
「むっちゃんのアレは受けたな」とニヤニヤ出来る
息子もよく寝ながら笑っています
彼も楽しく過ごしたんだなと思って安心する
やっぱり、突然叫ぶとか泣き出すとかされると
なんか悲しい事を思い出してるんじゃないかと思ってしまう

預けている間に息子が知らない成長をとげていると
寂しい時はありますが、それでもその全体の
2割程度を棄てても日々の8割が平穏なら価値があると思うんです

私は疲れ切ってただけなのに
「育児に対して考え過ぎなんだ」と言われてばかりで凄く悲しかった
でも今は原因が分かって楽になってきました

私は行動が極端ですし、仕事もアレで人に甘えられないので
身内に負担をかけたりお金をかける結果になりましたが
どういう形であれ育児を頑張るお母さんが罪悪感なく
休みをとることを選択出来るといいし
そうして欲しいと願っています

 

 

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