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2015年3月19日 (木)

ゼロヒャク。

ゼロヒャク。
病院の帰りにちょっと安くなったマーガレットを買いました。
女性のウツには生花が効くんだそうです。
5月が終わりかけたらピンク色の紫陽花を買いたいです、
独立した時に贈られたピンクの紫陽花がとてもよかったから。

窓際に置いたコーヒーの木を後ろにどかして、
カーテンを全開にしました。
太陽の光を取り入れると心が元気になるそうで。

ハグがストレスを緩和するらしく、意味もなく夫の身体に腕をまわします。
お腹でひっかかることがなくなれば完璧です。

今日は精神科に行きました。一昨日は嫌な夢をみたし
昨日の夕飯は不安から喉で詰まったので無理矢理おしこみました。

だから出来るだけのこと、たくさんやって出かけました。
予約の一時間以上前についてしまったけど
チビコを産む事になる病院をゆっくり歩き回り、順番を待ちました。
診察室の前で待つと、ドアの回転と同時に先生が見えました。

あ。一緒たぶん。

「自分がここで会わなきゃいけない男の人」のシルエットにとても
良く似ていたけど、断定しすぎて落ち込まぬように気持ちを
話そうとおもっていることに集中して、呼ばれるのを待ちました。
精神科は夫婦連れとかご老人もいて、奥まった場所にありながらも
陰鬱ではありませんでした。
真ん中の扉をあけて出て来た女医さんをみて夫が
「友達のバンドのベースに似てる」といいました。

順番がきて診察室に入ると、彼はやっぱり「例の男の人」のようでした。

とりあえず、お客さんが教えてくれたのを参考に
話したいことよりも具体的な症状と原因について説明しました。
「冷静な分析ですね」
彼は一言感想を漏らしました。
そして具体的な生い立ち等を聞かれました。

ちょっと興奮して主語を飛ばしがちなアタシから根気強くそれを
拾い上げカルテを書き上げた彼は、アタシが誰からも敬語を
使われていた13歳のあたりが特に気になったようで結構そこに質問が
集中しました。「何故彼女は異質にみえたのか?」という理由を
考えていたようでした。

「先生は、どうやって気分転換をしているのですか?
私はずっと、この一年、どうしたら人に話さずに自分の悩みを解決できるか
考えて色々試してきました。でも見つかりませんでした。」
アタシは尋ねました。

「どうして人に話してはいけないのですか?」
先生がメガネの向こうから不思議そうに質問を飛ばしてきました。

「あなたの質問に答えましょう、私は勤務時間が決まっています
気分転換はまあ・・・それなりにあります。
どうやらアナタは24時間対応のようです、
この機会に少しオンオフはつけてもいいかもしれませんね。
それに・・・人に話が出来ることは大切なことです。
声を発することや誰かを感じることは大切です。」

一通りのトピックを得た結果、彼はこう続けました。

「あなたは子供の頃から聞き役としてのスキルを身につけた
そして相手を壊さぬように自分を抑えてそれを遂行した
それはアナタの個性になって、あなたはそれを仕事に選んだ
・・・それは、社会に役立てた点で素敵なことです・・・でも・・・」

「同時にそれはとても辛い経験です」

こちらを真っすぐ観た彼からそういわれたとき、目頭が熱くなりました。
そして診断結果が告げられました。別件で記入したシートの点数は
うつ病手前のスレスレ、あえて診断するなら適応障害だろう
とのことでした。先生は私が妊婦なので薬はなるべく出したくないといい
自分もそこは同じだったので漢方を継続することにしました。
前回の産婦人科と違い、手帳をみて自ら薬効を確かめる先生に
好感をもちました。

それと今後の方針について話すことになった時、とりあえず
自分の見解を述べました。
「私は自分の悩みを聞いてもらおうとしても罪悪感から
打ち明けることが出来ません、私に必要なのは薬よりも
そうしても大丈夫なのだと教えてくれるカウンセラーなりメンター
なんだと思いますがどうでしょうか?」

彼は同意して、でも済まなそうにいいました。

「うちの病院にも臨床心理士がいるんだけど
あいにく皆産休でね・・・精神科も今日は初回だから沢山時間が
とれるけど次からは5−10分になってしまうんです。
でも、あなたはここで産むのなら、とりあえず話したいことを
少しずつ話に来るのはどうでしょう?もし気持ちが一杯一杯に
なるようなら、予約を早めてくれてもいいし。」

なんつーかゲンキンというか不思議なもので
話をしてこの医師に自分を受け止めてもらえたという安心感
で結構満足したばかりか、どうしたらいいかも
パズルを組み上げるようにどんどん自分で見えて来たんです
だからもうこれでいいかなと思って(本当にゼロか百かしかないアタシ)
ちょっと迷ったのですが寄り添うようなテトラの声が

「この人プロだし、何か学べるかもしれないよ、
しばらくおゆだねしたら?」
と言ったので、迷っているくらいなら甘えてみることにしました。
この科で一番偉い先生だったので、次は他の人に担当が
変わるんだろうと思っていたのに、どうやら次も彼が責任を
もつことに軽くびっくりしました。

その予約時間をみて彼の昼休憩が一時間を切ってしまっている
ことに気づいたアタシが
「先生、すいません。休憩削らせてしまたようで」
と詫びると彼は少し笑い、
「いいんです、仕事ですから、あなたはそんなこと気にしないで」
といったので、それにアタシは安心感を覚え

同時に「ああ!一個言い忘れが!!」といったアタシに
その笑顔をキープしたまま「それは次回にしましょうか」
と柔らかく言った時には切り上げ方もプロだな、と思いました。

帰り道、いくつかのことを決めました。
しばらく、聞き役モードになってしまう場所や人から離れよう
悪阻のドタバタでぎくしゃくした人とも離れよう
それでも関わりたい人は何らかの形でくるはずでその時に
どうすればいいか考えればいいし、縁があればまた
話すときもくるんだろう。

アタシは自分を整えて、そしてトモダチを探そう
別に聞き役一辺等な人じゃなくて、お互いのことを
交互に話せるような人でいいんだ
「で、最近あなたはどうなの?」と言ってくれるような人。
元気無さげだけど大丈夫とかフックをかけて引き上げてくれる
人に会えたら最高だけど、それは結果論で。

少なくともアタシの簡単に自分を打ち明けられない
という気質を分かってくれる人にあったほうがいい。

帰り道夫は先生の感想を
「なんか心に沿った言葉をひねり出そうと慎重に
言葉を選んでいた人だったよね」
といいました。

助産院の院長と、この先生は何が違ったのかって
前者はアタシの人生を断定したのだけど
後者の彼は、アタシの失った言葉を代弁しようとしていたんだと思います。
だからシンパシーを持ったんだと思います。
彼の言葉を選ぶ沈黙はなんだかとてもあたたかかった。

反省しましたよ、自分は果たしてどうだったかなと
鑑定の時、みえることを伝え焦って自分の価値観で断定
していなかったかと。その人の忘れていた気持ちを
ちゃんと引き上げて言葉にできていただろうかと。

そして学びました、
自分という人間をしっかり認めて理解しようとして
言葉と時間をかけてくれる人に出会えたら
人はある程度自分がどうしたいのか分かって歩けるものなんだ。
そういう人に会えたなと思うことはとても救いを得ることなんだと。

そしてごく自然に、
「こういう仕事ができる鑑定士になりたい。」
と、思いました。

これを踏まえてもっといい仕事がしたい
そのために自分を立て直そう
だからしばらく、この先生に甘えさせてもらおう
あんまり迷惑かけないように
紙とかに書いてバッチリ資料つくって渡していきたいけど
ま、そこはいっか・・・また占わないとも限らんし

・・・なんてね(汗

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