アタシの「店長」
桜の花がだいぶ散って来た。
花びらの舞う感動が胸に迫るのと引き換えにちょっと寂しくなる。
寂しくなるといえば、
アタシが前の店でお世話になった朱里先生が辞めたらしい。
お客さんとのふとしたメールのやり取りで知った、
アタシは自分が辞めてから店のサイトを観てないし(ていうか怖い)
ディーバダッタという名を店につけて「裏切り者」として生きてきた。
何があったかは当人同士でしか伺い知れない事もあろうが
私には先生との思い出があふれた。
最初に店での注意事項を聞いた時
そのぴりっとした空気に背筋が伸びた。
次にあった時は打ち合わせで、黒いコートにストッキングが
セクシーで、でもケーキを携えてやってくる気配りぶりに
「この人、大人の女性だなあ」と思った。
在職中に先生が雑誌にのって連日超満員になったときは
これが人気鑑定士のオーラと活気なんだ・・・と圧倒された。
数年して一緒の日に仕事するようになった、
開店前に床を這いつくばって雑巾がけする習慣は
店長を見習ってつけた。
どうしてもスゴい先生と一緒だと思うと
自分の話をしそうになってしまいポロッとこぼしかかると
「神様はどういってるだろう、じゃなくて時には自分で決断しないと」
と甘えそうになる心を一喝してくれたときもあった。
でも一方で、
手痛い失恋をしてそれでもお客さんの恋愛相談をきく
なんて過酷さにアタシが顔を引きつらせていたときは
自分の空き時間につかつかと近所のコンビニに行き
「ほらこれ食べて」
とチーズケーキとかを差し入れてくれたりした。
先生が土用という概念を教えてくれなかったら
私が土用予報を書く事もなかった。
私が今の夫と付き合うか悩んでいた時
先生が出雲大社で戴いてきたといって
未開封のおみくじを手渡してくれた
一番で大吉だった。
先生に朝の準備のあとそのことをつげたら
「ふーむ・・・つきあってみたら?」
と一言だけアドバイスをくれた。
それがなかったら夫と結婚出来てなかったかもしれない。
クールなようでいて、コンビニのクジで引いた
カピバラさんを「いりますか?」なんて渡すと
走り回ってはしゃいでくれる可愛らしさがあって
そんな店長とアタシは貴重な時間を過ごした。
一度だけ前の店の休みの日に東京大神宮さまでお詣りしたら
出勤前にきていた先生とばったりあったことがある
「美彪センセイじゃん!」
とニッコリして声をかけてくれた姿を思い出す。
もし可能なら先生にはどこかで鑑定を続けてほしい。
先生のコトバで人生をやってける人がまだまだいるはずだ
そう思う。
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