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2011年5月20日 (金)

ベンズラスト朗読新作「慟哭のウエッソンサンデー」

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2011/5/13(日)高田馬場Ben's Cafe 撮影:mido

記念写真って、今やブログUP駄目な代物なんだっけ?
でもいい笑顔だったら、ちょっとでいいから載せさせてください。

ベンズカフェ、表現者としての心の実家よ、
あの黒くて小さなステージはどうなるのだろうか。

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「慟哭のウエッソンサンデー」

日曜日唐突に自分を埋葬する旅に出た
舗装ままならぬ道をガタガタ食い込ませながら
ただまっすぐに南を目指す

荷台にのった拳銃 スミスアンドウェッソン
暴発したらキットここが終わりだね、
なんて口笛吹きながら

残された時間のカウントを繰り返して
太陽がふりそそぐ道をひたすすむ

「いつからこんな生き方なんだっけ?」

大量の「ゴメンナサイ」を子守唄に
枕を抱き始めたきっかけはもはや忘れた
細胞は日々リアルに生まれ変わるのに
肉体はただひたすらに老いていくばかり

バックミラーに映る目元のシミは
指で引き伸ばしても薄くはならず
水がぬけたようにやせてきた腕に
垂れおちる汗も弾力をもってはじかれる気配が無い

いつからか

「生まれてきてごめんなさい」ということが
アタシのレイゾンテイトルになっていた

その助手席にはあなたがいて欲しかった
いやでもたぶんあなたでなくてもよかった
あなたでなきゃ駄目だと選んだのはアタシ
サイドブレーキを踏んでくれと望んだのに
そのブレーキを踏むことを許さなかったのはアタシ

・・・だったよね?ブロンソン???

唐突に昔愛した男の名を繰り返す

ただまっすぐに白く乾いた大地の中ほどでブレーキを踏み
泣きじゃくるアタシの上に涙で新しい地図を描くの

HIT ME BRONSON!
HIT ME BRONSON!

荷台のスミスアンドウェッソンの引き金を引き
涙で濡れた横顔に撃つ
乾いた銃声よりも組織の飛び散る衝撃を瞬間的に感じ
遠のく意識を描きながら
「これは夢ね」とアタシは言った。

目を開けたら
汗だくのベッドの上か半透明の身体
なのだろう
でも今はまだ
その目を
あけない

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若いね、と言われていた朗読者だったアタシが
若いね、と自分が言ってしまう世代に差し掛かった気分を

自分の責任範囲と運命のいたづらの作用範囲を
残酷に自覚した上でどう進むか考えている
という視点で書いてみました。

読み上げてからこの詩の主人公が
二年前に書き上げたショートショートに
存在していたことに気づいたり

ノリで考えたブロンソンという名前を持った西部劇俳優が
実在していたことに気づいたり
言葉はアタシの考えを超えた範囲で
繋がった世界があるんだなと
思った作品であります。

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コメント

記念撮影はどーなんでしょ?
各人に了承を得たらいいんでしょうけど、はて…

それにしても、みなさんいい笑顔ですのんた。

投稿: 至峰山人 | 2011年5月21日 (土) 17時16分

山人>そうなんです、なんか和やかな写真で卒業式みたいにアタシも感じます。

投稿: ヴィヴィアン | 2011年5月22日 (日) 20時04分

この記事へのコメントは終了しました。

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