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2010年7月18日 (日)

あばずれ木版霊能ロッカーの独白。

イエスアイムロンリーワナダイ。
アタシが人生で最初の霊感霊視に払ったのは処女膜で、
御蔭でその後どんなに純粋に男を愛しても、アバズレの匂いが消えやしない。

あの日彼は「僕たちはこのあともすぐに恋しくなるよ」と言ったが
もう13年たとうとしているのに一度もそんなことを思ったこともない。
アタシはあのとき、決断力がなく、ただ無知なガキだった。

美大の授業で君には自分がないと言われてショックを受け
バイトの帰りに渋谷の街をほっつき歩いていたら
きっかけが欲しかったポエトリーリーディングをしていた人がいて
知りたかったアタシを、この人が教えてくれるという言葉に乗っかって
同時に断ったらかわいそうとかって思っちゃったりして
やさしさの使い方と情の扱い方がわからん子だったのだ。

詳しく描写したらおたくの股間を熱く出来るでしょうが
それは本題じゃないからこの場合おいといて。

アタシはこのあと、カッターで腕切りまくりの安定剤飲みまくりの
ジャンキーになって美大で思いっきり遠ざけられる羽目になるのだが
アタシは単純に、自分で何も納得してないのに
場の空気に押されて同意しちゃって深い心の傷を負う羽目になった
自分とその御育ちのよさが許せなかったのだと思う。
と、同時にそんな苦悩に寄り添うでもなく遠ざけてくる人間が許せなかった。
最初の彼氏には完璧性的依存してたし、記憶のどっかに葬りたかったんだろう。
おかげで逃げられちゃって、それを振り切りたくてイベントをぶちあげて
前に進んだ気になりたかったのに、ジャンキーすぎて責任能力の30%も
果たせなかったのを覚えてる。

だのにそいつとポエトリーリーディングの会場で再会してしまって、
しかも「君は有能な表現者になるはずなのにこんなチンケな場所で何してる」
とか説教されて猛烈に腹が立ったんだよな。
怒りと悲しみとやりきれなさで錯乱したアタシは、詩人の仲間がいれば
耐えられると思ったけど守られたのはむしろ彼で、
そしてアタシはステージに立てなくなり、木版画家になりましたと。
その時付き合っていた男はアタシを詩人に戻さないようにしてたけど
アタシは宿命のように戻ってきた。27歳だった。おまけに霊能者になって。
そこからがこのJET LAND PORCA にいるアタシだ。

最近ここまでのことをスゲエ思い返してた。
アタシはずっと、アタシと似たような愚かな選択をした女子が
アタシにも何かできるんじゃないかと思えるようなそんな生き方をしたいと
思っていたわけだ。はらまされた教授に逃げられたパティスミスの気分で。
で、ついでにフレッドみたいな旦那にも出会ってさ。

ところがやっと巡り合ったフレッドみたいな男に霊能者であったことが
災いして振られてしまい、アタシは自分に10年の歳月をかけて
結果的に傷の上塗りをした。

アタシは傷の何一つも乗り越えちゃいなかったよ。

19歳のアタシを慰めるために今を生きる事は結局10年単位で
現在進行形の自分をないがしろにしてただけだと気づいた。

乗り越えるってなんなんだろ?
他人がそう見えるってだけなのかもしれん。
でもとある記憶を思い出した。
詩人の会場から飛びだしたあの夜、追っかけてきた詩人を前に
青山の車のびゅんびゅん走る深夜の六本木通りで吠えたんだわ。

「何でだよ!!何でアイツみたいなジャンキーが支持されて
心の傷と必死に闘ってきたアタシが悪者になるんだよ!!
こんなのおかしいだろ、間違ってるだろ!!」
そういって泣き崩れたんだ。
でも、あんまりにその時の気持ちが引き裂かれるほど辛くて
なんと10年忘れていたんだね。

今そのアタシに教えてやりたいわ。
「ただ集まりたかった寂しい人間たちを純粋だったが故に
仲間だと信じたオマエ、残念だったな。人間は心に傷を負った
無名のエキセントリックより、何らかの名声と才能を世に示した
ジャンキーを支持するのだよ、自分の利害関係とエゴを否定しなくてよい
という理由でな。」とね。

奴を仲間だと信じる人間たちと無用な争いをさけたり
野郎どもと折り合うためだったりで自分の本心から目をそらし
アタシは死んでしまった彼の魂を背負ってまで生きようともした。

でも、もう愚かなコミュニティに打ち負かされたと認める代わりに
彼らの価値観に迎合して苦しむのはやめていいと思った。

男が所詮下半身で生きる生き物だとしてもだ、
アタシは心の定まっていない人間から自分のエゴのために
無理やり合意をとって影響を与えようとするそんなやり方を
一生許さねえし認めないよ。
そんだけだ、ただいろんな状況に対して。

そして自分が大事だと思ったものにその気持ちを
言葉と態度で表して表現し続ける。

この傷を抱えたまま何処まで飛べるかを試せばいいのだと思った。
本音をいえばあと10年は平穏な恋愛だのに恵まれる気がしない。
別れた男が別な男との幸せを願っているとしてもこればっかりは仕方ない。

ロックンロールなんてアタシに言わせれば
この先に失われる10年のためのレクイエムであり
失われる10年のためのひまつぶしなわけだ。
リアリティをもって描くことが出来ない幸せを願うよりも
それがもっとも誠実な態度だと思う。

傷を抱えたままでも気分を上げる音楽はあるし
アイスクリームはオイシイ。
その日常のパレードを喜ぶことがアタシのエッジなのだと思う。
そしてそれは通じる人には通じるだろう。

彼は死んだ、
でもアタシは生きてギターをもち、
高校生の時にラジカセを抱えて聞いたブルーハーツを弾いている。

だからあの日のアタシにさらに言ってあげたい。

「正義は勝たんし傷は増え、怒りも涙も裏切りも終わらなければ孤独も増すだろう。
でもな、憂いをもった優しさはそれが伝わった人間を通じて必ずお前に返ってくる。
どんなに深く愛しても男は逃げるしそのことに対して好き放題非難もするだろう、
でもそれでもお前はお前の悲しみも苦しみも揺るがすな、お前が感じたそれは
お前がこの先の人生を作り上げる上で正しいことなんだ。

孤独と哀しみというお前だけの点から、共有可能なよろこびを拡大させ続けろ、
それがお前の持つ希望という色なんだ!その価値をアタシが証明し続けてやる
少なくともアタシは20年後も30年後もこの身体が実体と実感をもって
突き進む限りは。

そして絶対に諦めない、深く深く信じたものを愛し続ける人生がよろこびを
もたらすということを。」

そしていつかジャニス・ジョップリンか浅川マキさんみたく
ホテルのベッドで孤独に死ぬさ。

アバズレの救われぬ独白終わり!

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コメント

乗り越えていなかったと知ったときの衝撃はとてつもなさそうで…大丈夫…?男の人って、ものを言わせないようにするやり方をするなと思うことがあるのだけれど、切り返すには、哀しみや苦しみの経験から得たことが力になると思う。大事なことを外さない生き方は歳を重ねる毎にかしこに表れてくるし、共有のよろこびをつなげようとする強さは本当にすごいと思う。見てる人は必ず見てると思う。

投稿: もみじ | 2010年7月18日 (日) 03時59分

もみじ>何年かに一度書く文ですが、まとめるたびにすっきりします。たぶん発展させる方向性がクリアになるからだと思う。これ書くと野郎から引かれるけど、受け止めようとしてくれた人がいるのは嬉しいわ。

投稿: ヴィヴィアン | 2010年7月18日 (日) 09時08分

なるほど、あばずれぶりが板についてる!とすれば、おんなはおとこへのルサンチマンでつくられる?歴史は夜つくられる。おとこはおんなへの残酷な仕打ちを勲章だと誤解しているヤカラが多すぎるのですが、みんな映画の見過ぎじゃないのか?スタイルは自ら切り開け!と、言いたいね。乱筆乱文失礼した!

投稿: フーゲツのJUN | 2010年7月18日 (日) 14時58分

フーゲツのJUNさま>女を傷つけるのが勲章…ならば女にとっちゃ傷は売り物なのかもしれませんね。色んな意味で考えてそう思います。強く生きねば。

投稿: ヴィヴィアン | 2010年7月18日 (日) 21時45分

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