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2009年3月24日 (火)

もう二度と女優やろうと思わない。

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20093172045分前後、それはアタシの中の女優魂が折れた瞬間でした。本番前日の通し稽古中、もみ合うシーンで小道具が額に当たり経験したことのない鈍痛がはしりました。異変に気づいたのは頬を液体が流れた時でした。傷は1cm足らずであったものの、額が割れた、という初めての感覚と鮮血に精神は動揺し、ああ、ショック死という概念が成立するのはわかる気がするな、と思いました。稽古は止まらず、家族の団らんのシーンはど真ん中にアタシの血だまりという状況で行われ、失血で震えだす身体を必死にこらえながら「ああ、血は無事に止まるのか?脳は大丈夫だろうか?」という状況でセリフを吐いていたところ、たまりかねた妹役が稽古を止めたのでした。そして真っ先に代表が口にしたのは真っ先にもみ合った相手の精神的ケアと居残り練習させる人員の確保指示でした。アタシは代表からたった一言の「大丈夫ですか?」の言葉ももらえないまま、箱つきのスタッフに救急病院の検索をお願いし、30分の道のりをとぼとぼと歩いて病院に出向きました。これが「一緒に舞台をつくりあげたい」という言葉は役者を大事にするという意味ではないという演劇の実態を知った瞬間でした。舞台を降りるのはやめよう、でも心に無理はかけまい、と自分を慰め、アタシはそれ以降、代表と必要以上の口をきくのをやめました。


そして翌日。額を冷やしつつ初日を終え、その翌日は満員御礼日だったのですが、人員を均等に振り分けたいという制作がアタシにいいました「近藤さんの客、明日一番多いじゃないですか、だから他の日に移動するようにいってくれません?」耳を疑いましたが相手は平然です。一番客呼んだ人間に対して、客に失礼なお願いをさせるって感覚をアタシ、企画屋としてさっぱりわからず呆然としてしまいました。


そして二日目の朝、代表が「僕インフルエンザ罹患4日目でした」という一言を言った時から、小劇場はバイオハザード状態になりました。凍りつく楽屋。搬入初日から36時間以上、まともなご飯休憩もなく設営したりというスケジュールで疲労の限界だった役者達は、たぶんそっから風邪を自覚しだしたように思います。密室で唾をとばし、咳きこみながら何時間も過ごしたらどうなるか。最終日までに半数以上が発熱という極限状態に追い込まれているにも関わらず、本番前の稽古は本番同様のレベルになるまで止まらず、日程が進むにつれ練習の最中に吐きかかってかがみこんだり、袖で倒れこむ仲間を観てアタシは怒りに打ちふるえ、抗議寸前のところを止め続けたのはお父さん役のサクちゃんでした。「あやちゃん、ダメだ、役者として受けた以上は演出家の意向に逆らってはいけない」「でもサクちゃん、あんまりだよ、役者は自分の願望を達成する道具じゃないんだよ、人間だよ?このままじゃ誰か本番で倒れるよ」「巻き込んで悪かったと思ってる、でもしきたりとルールは壊しちゃいけないんだ!」こんなやりとりを袖で何度も繰り返しました。彼がいなかったら、アタシ、きっと我慢しなかったと思います。だって実際毎晩家でヒールを投げる練習してたもの笑。


アタシがもし自分の企画で誰かが頭に怪我をしたら、まず真っ先に大丈夫かと状況を確認した上で夜間診療の救急病院を検索、傷の大小問わず人を誰かつけて病院に搬送がセオリーでしょう。実際の席数以上に客が来ることになったら無理やり詰めるか、アタシの名前でお詫びのメールフォームを作って全責任をアタシに集約させる形で移動のお願いをするでしょう、というか均等に人を入れたいというのはそもそもこっちのエゴな訳で、それを優先させようという判断なんてありえない。そして自分が密室空間で病魔に倒れたら、土下座して謝って練習量を抑えて、演出をあきらめるでしょう。というか、万全の態勢で本番ができるように直前は軽くして練習で追い込む。桑沢で講師をやってる時も鑑定してる時もアタシはルールがあるんです、精神と肉体は同時に追い込まない、意図的に追い込むとしたら初期段階。講評で生徒にきつい一言を言わざるを得ない場合は、もし耐えられなくなっても愚痴を言える人間関係が彼・彼女にあるかを把握してから踏み込む、でなきゃやる気と尊厳を蹂躙するからです。だって家畜でも物でもないんだぜ。


アタシはどっかで演劇を信じてたんです、たくさんの人間の力と個性を借りて状況を再現する演劇は演者のメンタルと、根底に人間への愛があるんだろうって。でも現実は違いました、脚本と演出という絶対権力の前に会期が終わる極限まで追い込まれるデスゲームでした。いつもなら友人を関係者に紹介するアタシも今回ばかりはそれができませんでした。こんなリスキーな世界にアタシの大事な仲間を無邪気に追い込めるもんかって。たぶん、本気で役者を目指す人間じゃなきゃわかんない価値とか魅力があるんだと思うけど、アタシにはそれは永遠にわからないと思う。申し訳ないけど打ち上げも長居する気になれなかった。ものすごいマゾとサドの集会みたいに思えてしまってそれを払拭する体力すらなかった。帰り際に最後に代表に「もっと要領よくやんなよ」って言ったんだけどはぐらかされちゃったアタシ、その瞬間に皮一枚で繋がってた女優魂を完全に折って捨てました。


ごめんね、アタシ「もう一回やっていいかな」って出待ちの挨拶で言ったけど、嘘つきました。根底で人間を愛さない、というか、関わる身近な人間に愛情を示さないジャンルの表現に時間を割く価値なんかないわ。同じように才能があるならば、才能あっていい奴がたくさんいる音楽の世界で、集ってくれたバンドも客も自分のイベントみたいに希望とか楽しみを分け合えるよーな企画作って自分で楽しい無理するわ。悲しいのは、役者との友情や達成感以上に徒労感や疲労感に自分が覆われてしまっていること、心に傷が増えたこと、また一段と人間不信になったこと。演劇という字も劇という言葉にも触れたくなければ劇場にもよりたくない。あ、でもお母さんとデートしようとおもって「毛皮のマリー」のチケットとっちまったどーしようかなあ。


アタシの名前で舞台に足を運んでくれた皆さん、照れくさそうに再会のきっかけにしてくれたり遠方から夜行バスや新幹線で来てくれた友達、教え子諸君、体調不良なのに花を贈ってくれたあなた、本当にありがとう。アタシの折れかけた心を途切れることなく救ってくれたのはリストに載り続けたあなたの名前やサプライズの贈り物でした。最後にさ、身内ネタで悪いんだけど、三日目の夜に来てくれたうちの母さんのメールをのせます「今日は私たちの結婚記念日でした。自治会の班長の慰労金の五千円札で切符を買い、娘の舞台を夫婦で観て、思い出になる夜でした。花膳で夕食して、スタンプ押してもらって、カード持って帰ってしまいました。」クタバレ演劇!きっかけにしかなれない人生なら、アタシはこんなアタシを愛してくれてやまないっていうかアタシが一方的に愛してるマイノリティのために生きるよ。ロックンロールしかやっぱ、アタシを救っちゃくんないみたいだからさ。

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コメント

お疲れ!
なんか最悪の現場やったね。
全部がって訳じゃないけど
演劇関係の大半は
悪い意味で
自己満足の自分勝手でキチ○イが多いのが現実。
人によっては未だに暴力的な脅しや脅迫でプレッシャーをかけるのも居る。

演出は役者に恨まれても良い方向に持っていくのが仕事!
但し、そこに驕りや満身が有る人はハッキリ言って駄目!
あと
どっかかんかで
フォロー等が無いなら尚更駄目!と俺は勝手ながらに思います!
そういうのステージで見て解るから…

俺も経験は有るんで

ちなみに今、俺が関わってる演劇団体は
ふいんきや結束感を大事にしてます!

これが又少ないんだけどね…

投稿: 北村幸生 | 2009年3月24日 (火) 03時33分

普通に毎晩見る夢のような芝居でしたね。
良いのか良くないのかということはわからなかったのが残念。
通常、それでは良くないということになるんですが、
自分としてはポテンシャルまで否定したくはないのです。

正直に言うと少し寝ました...でも数秒かな。
終わってから時間を見ると1時間ぐらいしかなかったので驚きました。
これはきっと知らずに芝居の時間の流れに乗っていたのでしょう。

関係ないけど、自分は仕事を始めた頃はずっと芝居小屋にいました。
R&Rミュージカルで、良い劇団だったと思います。当時は生演奏で。

投稿: kats | 2009年3月24日 (火) 11時43分

相方が予想以上にバテてしまい、一回しか見に行けなかった、すまない。

ただ、あそこはおまえの場所じゃあない。
それを知るのも必要だったんだろう。
少なくとも、おまえのキャラクターを深いところで理解してない気がしてきて、落ち着かなかった事だけは言えるな。

投稿: 白犬 | 2009年3月24日 (火) 17時35分

そっかー。

裏の舞台では色々あったんだね・・・heart03
でもヴィヴィアンはそういうイライラをひとっつも出すことなく演技をして、
愚痴一つこぼさず一緒にご飯食べてくれて、
プロ魂持ってるよなーthink

ものごとを極めようとするとき、
人に遠慮したり弱気になることはマイナスになっちゃうけど、
でもこちらの方はちょっと気を遣いなさ過ぎだったかもねpunch

まぁ、初めて社会に出て理不尽なことを目の当りにした時、
『信じらんない!angry』って怒りや不信感や脱力感とか覚えるけど、
ヴィヴィアンも初めての演劇の世界で、
現実というか実態を見ちゃったんだろね。

でももしかしたら今回はまだマシなほうなのかもしんないし、
これが普通なのかもしんないし、
気にしますまい!good
何か今後の活動のために勉強になるものもあっただろうしdelicious
一つの通過点でしょbleah

私、お母様のメールに ほろっ としたわweep
うちの母さんとかこういうこと恥ずかしくて言えない人だから、
ヴィヴィアンのお母さんは素敵だなーと思いました☆
ま、ヴィヴィアンを産みおとしたお母さんなんだもん、
そりゃ只者じゃないよねsmile


投稿: とっしー | 2009年3月24日 (火) 22時03分

みなさんすんません、
あのあと風邪で一日ねこんでましたよ。
思いのたけはここで書いたので
今後は全部忘れてロックしようと思います。

コウセイさま>そうじゃない現場なんてあるんだ!総合すると、勝手な演出は多いけど、それが全部ではない、ということなのでしょうか。
コウセイさんも稽古頑張ってね。

カツさん>あーあの日はセリフ抜けした日でしたね、申し訳ない。ビンズ大事につかいますね!音響時代の話も今度お聞かせください。

白さま>一回で充分嬉しいわ!!相方さんをとにかく大事にして!!ヴィヴィアン、ではなかったのは確かですね。というか最後のほうヴィヴィアンになったと同時にアンケートのよかった女優からアタシの名前が一切消えていくわけですが笑。

とっしー>来てくれてありがとう。あの日は晩餐のマンゴープリンも含め救われたよ。「それでもやる」は一個でいいなとアタシは思ってる。で、演劇はそれでもやる、ではなかったと、そんだけやね。気はまったく抜かなかったけどね!

投稿: ヴィヴィアン | 2009年3月25日 (水) 16時10分

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