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2007年3月 2日 (金)

出撃第四夜:最後の一曲で全員黙らせる。

Dscf2793
はじめての楽屋、はじめてのハコ。
勝手が分からない場所はいつもおずおずする。
てか、他のハコってはじめての経験じゃないか?

友達が貼り付けたアーティストパスにちょっと笑みがもれる。

たぶんここだろうと思って楽屋に入ると
セッション大会が行われていて、その光景にしばし恍惚となる。

ギターの運び方もままならないアタシが突っ立ってると
セッション同盟の中のお兄さんが言った。

「君のリハーサル、きいてたんだけどさ=」

「ああ、はいはい、あいあい(ど緊張)!(ビクン!!)」

「君.......やる気ないね!

「ええっ!Σ(T□T)」←超動揺。

「いやなんつーの、新しいよ、うん、新しいキャラクターだ。」

その一時間前、会社にて一時間早い早退を申し出ようとしたアタシ。
しかし、外出疲れが抜けないクタビレモードの所長はこういったのだった。
「こんどうさん、パーテーションを動かすよ。」

もはや絶対助けのいる肉体労働を所長に疲れたお顔で言われてしまっては
やりようがなく、アタシは時間ギリギリまで泣く泣くそれを手伝って
道に迷いながらハコについたのだった。

BEAMS展示直前の自分はもちろんリハゼロ。
開演15分前についたからテンションは電話番モードのまんまだった。
で、それがおもいきしバレタッぽいことに屈辱。
内心すごくあせる。

こ、今畜生!!!

こんな不完全でも浅草KURAWOODという浅草ジンタなども出演する
良箱に出ることにしたのは、ここのブッキングマネであり、熱い下町ロッカー
であるマーシが声をかけてくれたからだ。
きっかけは二回目のライブにきてくれたマーシのバンドである
東京ハウリングレコードのベースきょうちゃんとヤパニのるっぱちんが
感想を彼に言ったかららしい。口コミの恩には報いねば。

楽屋にいたのは三番目のパインズ+おみさんとカンが何とかって複雑な名前の
ブルースのおじちゃんだった。
アタシの出番は当然最初なのでチューニングと、電話番モードを払拭するために
フレーズを弾きだすと、にこっと笑ってパインズのお兄さんがあわせてくる。
それが気恥ずかしく、なんつーかいきなりブラに手を突っ込まれる気分で
もじもじしたアタシは、どう考えても乙女になってしまっていた。

セッションはやっぱり、セックスにちっと似ている。
ジャニス・ジョップリンじゃないけど。

そうこうしてる間に出番が来てしまった。
あせるアタシはセイジ(ギターウルフ)スタイルでギターを背負った。
しかし、またもやいつかやると思ってた事態が.....

ストラップが外れた。

楽屋出口でガコーン!!と壮絶な落下音をさせる時子弐号のネック!!
「大丈夫かよ!?」と怒号に似た呆れ声のカンのおじさん。

「だ、ダイジョブッす、大丈夫ッス!!」
と、間違って女湯に入ってしまった男の人みたいにそそくさと
舞台入りするアタシ。
しかし目の前はカーテンの海。
駆け足で舞台説明を受けた私は、上手も下手もわからない。
だからカーテンのつなぎ目っぽいところから入るとそこは、
ドラムキットの真裏。

つまり

ど真ん中だった。

こんな有様だからSEも準備中に終わっちゃうし、
カーテン閉め忘れてスタッフのお兄さんが駆け上がるのみえたしで
すでにダメダメだった。

しかも
「よおーす、俺たち見てるから入場期待してるぜ☆」
というパインズのお兄さんの期待に強引にこたえようとして
結局立ち尽くすという有様。

とりあえず、唄いだした。
この日のトークは、
「どーもー、金なし暇なし技術なし、VivienneAlice28歳デース♡」
という導入ではじめようと思ったのに、
.........その言葉を忘れた。
だけど、どうしてもここは譲れなかった。

「えーと、あのですね、なんだっけーあー」

とかいう私のぐだぐだな空白は3分は続いた。
多分、本気でどうかなっちゃったんだろう。
余裕で行き来する3人くらいの客を見ていた。

てかほぼ客いなかった。

二曲目悦子さん、三曲目Maggieの時、
どうしようもない違和感に気づいた。

おかしい、これ、音変だ、絶対変だよ。

中途半端にトークの途中で唐突に読み下すポエトリーを終え、
唐突にはじめたチューニングで理由がわかった。
ネックを落としたせいで六弦のGがAになっていた。

その後も、三小節弾いてディストーションかけわすれて踏みなおす
初心者過ぎるリアクションの失笑の中、
アタシはなんとしてもやる気を伝えなきゃと思い
メイクマネーって曲で吼えた。

金が欲しい、金をください。

虚空の客席に吼えながら、もう今日はどうしようもない
と思った。

最後の曲はMINDROCKSというリタジェイさんとの二人展の
在廊中に出来た曲で、
三日前の曲だったから歌詞も覚えてなかった。

借りたガムテで歌詞を貼り、
最初だけGを弾いたけど
もう無意味だとおもって途中でやめた。

裸のあたしの声だけが会場に響いた。
「101_vol_1.mp3」をダウンロード
途中で自然に手が動き、拍子をつけた。
伸びていく声に至らなさが解けていく。

なんとなく、詩人だったときを思い出した。
韻も踏まず、ただスピードだけで読み下す私のリーディングが
顔を背けて出ていく数人と、まっすぐな目で見つめる何人かと
そしてやっちまえという常連との間の感情の渦の中で
ドバッと流れたBen'scafeの日々。

読んでいる間に変わっていく空気を味わいながら
そのJET感に身をゆだねる爽快感。
あの空気が大好きだった。

それに近い何かが、おこったようだった。
凪をうったように会場が静まっていた。

「こ、これでもロックなつもりなんだ」とか何とか言って
私はステージをおりてがっくりした。
これで最初で最後のKURAWOODだとおもった。

しかし、読みは外れた。

ドリンクブースのマーシが笑顔で
「すごくよかった。」といった。

その奥からさらにお兄さんが出てきて
「いやあ、ボクは彼の前にブッキングマネージャーをしていた者で
今日はたまたま(ドリンクブースに)入っていたんですけど、
最後の曲すごかった。今あれだけ人を引き込む人は滅多にいない。
すごいものを見せてもらった!」

などと言いながら名刺をくれた。

「是非またお願いします。」

「え、え、でも下手くそじゃん、ダメダメだったじゃん!?」
とあせる私にマーシが言った

「確かに........技術でダメだって人はそれまでだと思う。
 でも、そこで聞いてない人には伝わるよ。」

「..............。」

「なんか、Tさんっていう人がいてさ、その人にあって欲しいよ。
それにもっとたくさんの人に聞いて欲しい。」
マーシが続けた。

あ、ありがてえ........。

帰り際、パインズのお兄さんたちに挨拶した。
「いや、なんか考えさせられたよ。」
え、技術のこと?社交辞令?
打ち消すのは簡単だったけど、まっすぐに目を見てくれたので
素直に喜んで信じたいと思った。

マイミクになったし。

帰り際、マーシに聞いた。

「あのさ、マーシ、お客さんを呼ぶには何をしたらいいの?」

路上だよ。路上に出て唄うの。
そういえば、彼のバンドを知ったのも路上だったっけ。

ヒロキの兄ぃにも言われてた路上という道を本気で考え始めた。

ライブのあとは燃焼しきって結局何も出来ないから
最近深くなった愛奴の家に泊まりに行くことにした。

ごろんと敷物に横になって、
買出しを頼まれた食い物であるところの塩焼きそばを食う彼に

「なんか気に入られたよ。」
というと、彼はフフンと笑ってキャスターに火をつけた。
もう彼の頭は仕事のことで満たされているようだった。

好きな男の前では歌わない(てかたぶん、どん引かれするから唄えない)
アタシなので彼は私の歌をしらない。
アタシはアタシ一人の充足の中で眠ることにした。

数日後4/17のブッキングのオファーが来た。

この日、赤字13500円
ミュージシャンの知り合い一組と
新しいハコを得た。
アタシのロックンロールはまだまだ続く。

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